鉄人28ミリ
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屋上の鉄人



すだれ
いい天気だった。
家の中でゴロンとしているのはもったいないと思い、
屋上に簾を茣蓙代わりに引く。
藺草の枕を置く。十分である。

空

ゴロンと仰向けになる。
高い雲と低い雲が違う速度で行き交う。

陽がまぶしいなと思って、
目を瞑ったら最後、
先ほど見ていた雲はいなくなる。

低い雲は、韋駄天のごときスピードで流れる。
高い雲は、ゆっくりと動きながら
その形を常に変えていく。

せわしないなあ。
と思ったら、

雲の方から

何を言ってやがる。
おまえらの方が、よっぽどせわしないじゃないか。

言ってくるような気がした。

自分は、あの雲ほどさえも
変わらずにいるのだろうか。

赤の女王もアリスに言ったはずだ。
流されることは簡単だ。
変わらないことは、本当に、本当に難しい。

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