鉄人読了メモ『小林秀雄の恵み』
西行より十二歳年長の信西は、「出世の見込みがないから」という理由で出家した。
既に「完成した秩序」を誇るようになっていた官僚社会では、
「出る芽がない者」は歴然と存在している。
出家してその秩序の外に出てしまえば、
外から別の形で官僚社会に関与することが出来る。
「会社ではやりたいことをやらせてもらえないから、退職してフリーになる。
フリーになって、より有利な条件で改めて組織と対峙し直す」である。
あ、そうか。
独立するってことは、
会社以外にも国家という組織やシステムとも、
より有利な立場で対峙できる、ってことなのだなと。
「評論」とはすなわち、読者をいずれかへ向かわせるトンネルなのである。
<中略>
「評論」というトンネルは、その抜けた先をどこに設定するかということが、
トンネルを抜ける者に委ねられている。
委ねるだけの骨太さがあるから、
小林秀雄の評論は読みやすいと思えたのかも。
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