鉄人28ミリ
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ありがとう、さようならパスタ。



4ab5f32b.JPG昨日の午後、我が家のパスタが天国へ召されました。
たった八ヶ月でした。
去勢の手術後、無事に帰ってきたのですが、
一昨日の夜から昨日に掛けて、呼吸が苦しそうになったので、
昨日病院に連れて行きました。

先生は休日にもかかわらず診てくれました。
しかし呼吸が荒い原因は不明。
ひとまず抗生物質を注射して様子を見ることになりました。
これがお昼前のこと。

一旦家に帰り、様子を見ていたのですが
さらに呼吸が荒くなり、苦しみだしてしまいました。
慌てて先生へ電話したところ、あいにく遠出中だったので、
別の動物病院に連れて行くことにしました。

その病院とタクシー会社に電話して
家の外でタクシーが来るのを待ちました。
パスタはさらに苦しみ、吐いたり、鳴き声をあげたり。
普段はあんなに大人しいのに。相当苦しかったのでしょう。

タクシーに乗り込み、運転手さんに地図を見せ、
早く病院についてくれることを一心に祈りました。
時間にして10~15分のことだったでしょう。
けれどもどれだけ長く感じたかわかりません。
とにかく、パスタに処置をしてあげられるところへ
着いて欲しいと願っていました。それだけでした。

タクシーのなかでも、苦しみは続いているようでした。
僕は助手席にいたので、叫び声とカゴをひっかく音が聞こえました。
嫁はそんなパスタに、がんばれがんばれと声を掛けていました。
パスタはそれどころではないはずなのに、
その呼びかけに答えて鳴いていました。
普段、名前を呼ぶと振り向きながら返事をする子でした。

ようやく病院が見えたときには、
すこしパスタは静かになっていました。
病院に駆け込み、すぐにパスタはオペ室へと運ばれました。
僕はパスタが見えなくなってから下を向いて泣いていました。
祈る以外にはそれしかできなかったのです。
嫁は気丈に、僕に声を掛けてくれました。

数分後、オペ室に呼ばれました。
パスタが息を引き取ったことを知らされました。
原因は特定できませんが、オペ室に入ったときには
呼吸が止まっていたので、
気管挿入をしたところ、
パスタの肺の中には水が溜まっていたそうです。
急性の肺水腫の可能性が高いようです。
抱きかかえたパスタは、まだ柔らかくぬくもりがありました。

昨日、夜遅くなって帰ってきた僕を
習慣のように、玄関先まで迎えに来てくれたパスタ。
調子が悪いなと思ってから、僅か1時間足らずのあっという間のことでした。
まったく信じられませんでした。

泣きながら先生にお礼を伝えて、
パスタと嫁と3人で家へ帰りました。

ケースの中に横たわったパスタは眠っているようでした。
僕ら夫婦は、パスタをなで続けました。
病院では泣きもせず、気丈に応対していた嫁も
何を言っても声にならず、涙がとまりませんでした。

最初に診てもらった先生から、
「あとで状況を教えてください」と言われていたので、
パスタが亡くなったことを伝えたところ、
先生も言葉を詰まらせました。
相当珍しいケースだったようです。
状況から推察するに、
先天的な循環系の障害があったのかもしれない、という話でした。
とにかく、先生もそんなにすぐに息を引き取るとは思っていなかったそうです。
先生でさえそうですから、僕ら夫婦もそんなこと考えていませんでした。

この世に生を受けて8ヵ月、うちに来てから5ヵ月。
知り合いのネコちゃんには、
病気にもかからず2歳を迎えた子や
7~8年生きている子がいたので、
うちのパスタもそのくらい生きるものだと、
盲目的に信じていました。
そんなこと、誰にも分からないのに。

いつか、お別れの日が来ることは知っていましたが、
こんなに早く来てしまうなんて、考えたこともなかった。
もっともっと、遊んだり、一緒に年を取るものだと
信じ込んでいました。

町田康も、著書でそのようなことを書いていましたが、
それと同じ体験をするなんて、思っていませんでした。
でも、パスタは僕ら2人の目の前で、天国へ旅立ってしまいました。

パスタは、人なつっこいやつでしたが、
撫でられるのは嫌いなようで、
僕が撫でていると、やおら体をくねらせて
撫でようとしている手をかわすと
少しだけ離れたところに、ちょこんと腰を下ろすのです。

キャリーに横たわったパスタは、
僕らに幾ら撫でられても、そこに横たわったままでした。

夜、2人でパスタの体を撫でながら、
いろんなことを思い出しました。

玄関の三和土で横になっているパスタ。
外から帰ってくると、玄関先まで迎えに来るパスタ。
たまに寝ぼけてて、のろのろと、
寝ぼけ眼のまま玄関まで歩いてくるパスタ。
コンビニボリのタオル入れに、丸まって入るパスタ。
シャワーは苦手なのに、風呂場は気になって、探検に来るパスタ。
僕や嫁が風呂に入っていると、出るときに扉の外で寝そべって出てくるのを待っているパスタ。
トイレに入ると、やっぱり扉の外で待っているパスタ。ドアが重くて開かないと思ったら。
一度、嫁がトイレから出てくるのと入れ替わりに入って、トイレに閉じこめられたパスタ。
籐のトイレカバー入れに入って、ちょこんと座っているパスタ。
米びつの上に乗っかって、ストリングス暖簾をつかもうとしているパスタ。
その暖簾をくぐるときに、頭をひょいっと下げるパスタ。
シャドーボクサーよろしく、立ち上がって暖簾に立ち向かうパスタ。
大きくなって、ガスコンロ台へ飛び乗れるようになったパスタ。
ご飯を計量カップに入れるときにはミャーミャーと鳴きながら、
決まってキッチンの戸棚をツメでカリカリとひっかくパスタ。
ご飯の入っている扉を開けると、どこにいても駆けだしてくるパスタ。
ジャンプ力が付いて、冷蔵庫の上の電子レンジ置き場までひょいひょい上っていたパスタ。
冷蔵庫の下扉を開けようとすると、いつもその前に横たわるパスタ。
夏は、冷凍扉を開けると中に入って涼もうとしているパスタ。
トイレの時には、神妙な顔で踏ん張っていたパスタ。
おしりを拭いてあげてたら、自分では舐めなくなったパスタ。
小さな頃は、スクリーンのすき間を通るのが大好きだったパスタ。
初めはおっかなびっくりだったゲージも、徐々に憩いの場にしていた。
高い方の本棚の上で、壁に掛かってるミニ額縁や洗濯物に手を出していたパスタ。
その場所から玄関の方を見つめて、僕らを見ていたパスタ。
人生銀行にもたれかかって昼寝をするのが好きだったパスタ。
寒くなってきたので、ペット用のホットマットを出したけど、
結局そこには座らなかったパスタ。
低い本棚に、床からひとっ飛びで上れるようになったパスタ。
でも、それを見たのは、後にも先にも一回だけだったけど。
いつもは、近くにあるダイニングテーブルを経由して飛び乗ってたから。
でもたまに、飛び乗ってから後足を滑らせて転んでたパスタ。
本棚から飛び降りるときには、必ず前足を壁に沿わせて、腰をためてから飛んでたパスタ。
嫁が鏡の前でメイクをしていると、その鏡の前に陣取って、眉ブラシにちょっかいを出してたパスタ。
嫁が風呂上がりに、髪に椿油を塗り出すと、必ず机に乗って
身を乗り出してベロンベロンと手や髪を舐めていたパスタ。
ダイニングテーブルがお気に入りで、いつも横たわって僕らを見ていたパスタ。
その体勢のまま、背中を毛繕いするから、
背中か下に落ちそうになっていたパスタ。
僕らがご飯を食べていると、必ずテーブルの上に乗ってチェックしていたパスタ。
バターとかケーキやパンが大好きで、それは食べようとするくせに、
それ以外のものは、前足で砂を掛ける動作をしていたパスタ。
クリームどら焼きをコッソリ食べていたパスタ。
たまにトイレ砂も食べていたパスタ。そのままうんこと一緒に出てましたが。
教育テレビや、あいのりや歌舞伎のテレビを、興味深そうに見ていたパスタ。
新聞を読んでいると、読んでいる頁に腰を落としてこちらを見上げるパスタ。
麻の新聞入れが空になると、そこへ入って丸くなるパスタ。
洗濯物を取り込んでいると、奥からのこのこ出てきて、
洗濯ネットを見ると、それにじゃれて、結局入り出すパスタ。
外のニオイを嗅ぐのが好きで、窓を開けると、
窓際に置いてあるシュレッダーを踏み台にして窓の外に鼻を突き出すパスタ。
抱きかかえて外を見せてやると、バイクの音や子供の声に驚いて、
首を伸ばせるだけ伸ばしたまま、音が聞こえる方向をずっと見ていたパスタ。
台風の日、外の大雨を見せてやると、シャワーと勘違いしたのかビックリして逃げ出したパスタ。
嫁には内緒で、何回か外のテラスを歩いたパスタ。
猫らしく、細い窓枠を歩いてたパスタ。
体が小さい内は、デスクの下の足置きにしている低反発枕に横たわっていたパスタ。
大きくなってからは、窮屈なのか、そこには行かなかったけど。
ダッシュしてシュレッダーに飛び乗り、そのままシュレッダーを倒してたパスタ。
スキャナの下の暗いところがお気に入りだったパスタ。
一人になりたいときには、そこで横になっていたみたい。
最期の日、苦しいときもそこにいたパスタ。
うちに来た最初の日、紙袋に縦に入っていた書類の上に立っていたパスタ。
まだ小さくて軽かったので、紙袋に落ちたり、はい上がったりしてた。
探検心が出てきたらしく、スキャナのあるスチールラックの最上段まで登っていたパスタ。
デスクでMacを使っていると、画面のマウスカーソルに反応して、
デスクに飛び乗り追いかけていたパスタ。
デスクの脇にあるホワイトボードのペンが気になって、
デスクにのっかる度に、手を出して床に落として遊んでたパスタ。
キーボードの上を歩いて、勝手に文章を打っていたパスタ。
自分の出したBeep音に興味津々で、スピーカーをくんくん嗅いでいたパスタ。
夜中になるとプリンタの上に乗っかっていたパスタ。
プリンタで印刷していると、出てくる紙が気になるらしく、
デスクに乗っかって排出口を見つめていたパスタ。
プリンタの上から、耳かきを引っ張り出して
噛んだり舐めたりしてボロボロにしちゃってたパスタ。
ラックに積んであったCDやDVDの上に乗って、雪崩を起こしていたパスタ。
仕事先から送られてきた資料の箱を開けたら、「僕のですよね」という顔で箱に入り込んだパスタ。
床に置いた、PORTERの鞄のファスナーが開いていると、
よっこらしょっと言う感じで中に収まっていたパスタ。
そのあと決まって、肩掛け紐で遊び出すのだ。
空気清浄機の前で横たわるのが好きだったパスタ。
よくオナラをしていたパスタ。お腹も鳴らしていた。
クローゼットを開けると、いつも探検気取りで顔を突っ込むパスタ。
その扉の前もお気に入りの場所の一つ。
僕が座るメッシュの椅子も、お気に入りの寝床だったパスタ。
座り方は、人間と同じ座り方と、背もたれに背を付けて丸まってとで。
僕が席を外すと、「やっと開いたよ」という風情で椅子に座り、二人で一緒に座っていた。
嫁が座っていると「そこは僕の場所!」という感じで、嫁の足に噛みついてた。
最近は、仲良く二人で座るようになっていたけど。
今、リビングに敷いてあるラグはパスタが来てから買ったモノで、
最初は足を踏むのが怖かったらしく、ラグを避けて部屋を行き来していたパスタ。
でもすぐに慣れて、そこの上で横になるのが好きだった。
パスタが家に来たときに、一緒に連れてきたゾウのぬいぐるみが大好きだったパスタ。
それを投げると、犬みたいに追いかけて、キャッチしてたパスタ。
ぬいぐるみを獲ると、抱っこしながら後足でキックしていたパスタ。
段々獲るのが上手くなって、立ち上がってキャッチしたり、ジャンプキャッチもしていた。
キャットタワーにぬいぐるみを置くと、
「なにしてんのー」という感じで一声鳴いてから、タワーを登っていたパスタ。
最期の日に、初めて最上段まで登って、丸まってたっけ。
マットレスに登ったり、立てたマットレスの間を走り回ってたパスタ。
小さい頃は、そのマットレスの周りを、ネズミのおもちゃを追いかけて
グルグルと回っていたパスタ。
ジャンプ力が段々と付いて、ひとっ飛びでマットの上に乗れるようになったパスタ。
押し入れに入り込んで、追いかけられるのが好きだったパスタ。
押し入れの中のすき間に落ち込んで、助けを求めてニャーニャー鳴いてたときもあった。
羽毛布団の上におもちゃを投げると、腹ばいのまま飛び込むのが好きだったパスタ。
「バフッ」という感触と音が好きだったみたい。
嫁の本棚の上に登るのが好きだったパスタ。
最上段の、嫁のおばあちゃん、おじいちゃんの写真があるところが好きだった。
ハート型の鐘を、おっかなびっくり片手で触っていたパスタ。
嫁のミシンの上を、ひょいひょいと歩いていたパスタ。
和室の引き扉を開けられるようになったパスタ。
ご飯時には和室に閉じこもってもらってんだけど、じきに自分で扉を開けるようになった。
嫁がトレーニングのために和室に閉じこもると、
外側で寝そべって待っていたパスタ。
嫁が扉を開けようとすると、手で押さえて開かないようにしてた。なにやってんだかって笑ったっけ。
嫁の作った段ボールハウスに丸まって寝ていたパスタ。
大きくなって窮屈になっても、相変わらず寝ていたね。
メッシュのゴミ箱に入り込んで、くつろいでいたパスタ。
扇風機のコードを噛もうとして怒られたパスタ。
さきほど書いてた、スクリーンをバリバリにして怒られてたパスタ。
パスタを叱ったのは、後にも先にも、この2回だけだったと思う。
本当に手の掛からない、良い子でした。
テレビ台の下に、たくさんのおもちゃを隠していたパスタ。
隠していたというより、追いかけて遊んでいるうちに
いつもそこへ追いやってしまうようだった。
紙くずやクリップを持っていると、新しいおもちゃを見つけて
キラキラした目でこちらを見るパスタ。
投げてやると、掴もうと追っかけいるうちに、
決まって冷蔵庫の下に入れてしまって、手が届かないと、
僕や嫁の方を見やって「とってニャ」と一言鳴いていたパスタ。
いつもふわふわでつやつやの毛並みだったパスタ。
最近は冬毛に生え替わり、首のあたりのもこもこ具合が可愛かったパスタ。
肉球が黒だったパスタ。
指の間の毛だけ、なぜか黒い縁取りが付いていたパスタ。
これは嫁が気付いた。なんでなんだろう。
長いしっぽを、いつもゆらゆらさせて歩いていたパスタ。
停留睾丸だったんだけど、無事に玉が降りてきたパスタ。
最初で最後のお見合いは、失敗したパスタ。自由が丘までお疲れさま。
その日の夜はご飯を残してた。相当緊張したみたい。
去勢の手術も頑張ったパスタ。縫い跡はちょっと痛々しかったけど。
化膿止めの薬とご飯の区別も付かずに、ガツガツ食べてたパスタ。
水を飲むときには、4回ごとにゴックンと飲み込んでいたパスタ。
水が汚いと飲まないで、水を換えてあげると途端に飲み始めるパスタ。
ゴミが浮いてるのが気になってたらしい。
僕が抱こうとすると、いやがってのけぞり、
のけぞったまま尻餅をついていたパスタ。
DSをやっていると、画面を踏んだり、本体の角を噛んだりしていたパスタ。
トイレ砂をトイレに流すときに、トイレの蓋に鎮座していたパスタ。
流しの右隅のすき間に隠れるんだけど、いつもおしりが外に出ていたパスタ。
ビンと缶の入ったゴミ袋に、後足で立ち上がってちょっかい出していたパスタ。

まだまだ、思い出されることはありますが、
あとはたった5ヵ月だけど、たくさん撮っていた写真を見ながら
嫁と二人で思い出すことにしたいと思います。

今日はパスタを火葬場に連れて行きました。
最期のお別れに、額にキスをしました。
やっぱり寝ているだけのように思えました。

名前を呼ぶと、振り返って「にゃあ↑」と返事をしてくれたパスタ。
キスをしようとすると、足という足で僕や嫁の顔を押さえて抵抗したパスタ。
僕と嫁とパスタとの3人で、なにかモノを作ろうと思って
ブログを立ち上げたのは、パスタが亡くなる3日前だった。

もっと一緒に遊びたかった。
もっと一緒に年を取りたかった。
もっと一緒に思い出を作りたかった。
でも、パスタは、僕と嫁を置いて先に逝ってしまった。

きっとあの子は、神様に選ばれた子だったんだと思う。
流れ星のように、僕ら夫婦の前に現れて、
嫁の命を救い、僕の魂を救ってくれました。
きっとあの子は、僕たちの前に、姿を変えて、もう一度来てくれると思う。
いまはただ、それだけを信じています。

One Response to “ありがとう、さようならパスタ。” »

  1. 黒猫ネネの一周忌を、猫を愛する皆さんによる「猫の写真展」で追悼@仙台 | 猫ジャーナル Says:

    […] 個人的な話で恐縮ですが、我が家のパスタも、もう亡くなって6年になります。ネネちゃんといっしょに空の上で一緒に、遊んでるといいなぁ。 […]

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